さまざまなインクたち。できれば色別だけでなく、メーカー別というか販売店別の色見本も作りたいなとずっと考えていて。でも最近、次から次へと新しい色がでることもあり、なかなか全色揃えることが叶わなくて。
でも、せめて一番最初に手に入れたご当地インク的、福島県の文具屋Pentonote(ペントノート)さんのオリジナルインクだけは全色揃ったので、さっそく色見本を作りました。
あ、オリジナルインク全色と言っても、数量限定のは手に入れていないので、定番で販売されているLETTERS FROM FUKUSHIMA のNo.1~No.8、合計8色の色見本になります。どんな色があるのか知りたい方、手に入れるにあたり実際の色がどんな感じか知りたい方の参考になれば嬉しいです。
(用紙は水彩紙ホワイトワトソン。額縁スタンプの中央は綿棒で色を載せた上で、水に濡らした綿棒で色を延ばしています。額縁の縁取り&色名はガラスペンです。)
No.1 ほんとの星空。
(写真は50mlボトルですが現在販売しているのは20mlなので、ボトルデザインが変わっています。)
福島の空はほんとの空です。星空もまた然り。星がきれいに見える山々があります。
その中でも、吾妻山の浄土平からは「ほんとの星空」が見えます。夜も終わり、朝が漂い始める頃、黒が薄まり青になっていく。
その時の空のインクを作って見ようと思いできたのが「ほんとの星空。」です。ちょっと思い出補正もありますが、良いブルーができました。
NO.1 ほんとの星空。20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:アクリルデネブ 【右】用紙:ホワイトワトソン
深く濃く美しいブルー。濃いめに塗ると赤が少し出る。水で延ばせばそれだけで美しい夜空色のグラデーションができる感じ。
No.2 ゆきのしたで
(写真は50mlボトルですが現在販売しているのは20mlなので、ボトルデザインが変わっています。)
福島に春の訪れ、種を蒔く季節を教えてくれるのが、吾妻の雪ウサギです。吾妻山の雪解けを待っていたかのように現れるウサギは、少し長めの福島の冬の終わりをそして春の訪れの喜びを教えてくれます。
この「ゆきのしたで」は、冬から春への喜びをうっすらとしたピンクで表現したインクです。
NO.2 ゆきのしたで 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:アクリルデネブ 【右】用紙:ホワイトワトソン
少し青みがかったピンク色。ピンクのインクは黄みのピンクが多い気がするので(自分の手持ちがたまたまそうなのかもしれませんが)、とても重宝しています。桜を表現したい時によく使っています。
No.3 あおいろの名残り
(写真は50mlボトルですが現在販売しているのは20mlなので、ボトルデザインが変わっています。)
一切経山の頂上直下に魔女の瞳と呼ばれる沼があります。その沼は、冬から春までは閉ざされ夏になると、瞳を開くがごとく、美しいグラデーションを持ったブルーの沼が現れます。
魔女の瞳を見下ろしたときの青とターコイズの境界線が美しく、このような色のインクを作りたいと思いできたのがこの「あおいろの名残り」です。
NO.3 あおいろの名残り 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:ホワイトワトソン 【右】用紙:アクリルデネブ
私のパソコンの画面ではもう少し色鮮やかで、緑味が強い色。鮮やかな青緑という印象の色です。濃く塗ると少しだけ赤っぽく見える気が。
No.4 つれづれの色
(写真は50mlボトルですが現在販売しているのは20mlなので、ボトルデザインが変わっています。)
徒然とは、変化のない退屈なという意味があります。日頃、使っていたインクが少し退屈だと感じていた時に偶然にもできたのが、この「つれづれの色」です。
なぜか青から緑っぽく変わるインク。変わらなさも大切だけど、時々変わるのも面白いという思いも込めて つれづれの色。という名前をつけました。つれづれの色は、青から緑色に変化をします。その色の変化も楽しんでいただけたら幸いです。
NO.4 つれづれの色 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:ホワイトワトソン 【右】用紙:アクリルデネブ
塗ってすぐは青みが強いのですけれど、時間が経つと緑に変わり、さらに赤フラッシュが現れるなんとも不思議な色。福島の色かと言われるとちょっと悩むところですが、色名ぴったりな色だと思います。
No.4 いわはしの夜
福島で最も有名な山といえば磐梯山。磐梯山の読み方を変えてみると「いわはしやま」。勝手に読み方を変えたわけではなく、その昔そのように呼ばれていたこともあったそうです。
夜に磐梯山の麓から、磐梯山を眺めたとき、山と夜の輪郭が暗く美しく、こういう磐梯山もあるんだな。夜の山の美しさとは?というところからできたインクが、「いわはしの夜」です。
NO.5 いわはしの夜 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:アクリルデネブ 【右】用紙:ホワイトワトソン
深く暗い少し緑寄りの青。LETTERS FROM FUKUSHIMAの中では一番、オーソドックスな色かなと思います。ビジネスにも使える色です。
No.6 そらゆの色。
福島市が誇る天下の名湯、高湯温泉。全国有数の硫黄成分濃度の高さで知られています。湯は硫黄泉で白く100%の源泉掛け流し。
白い湯が福島の空に反射して、見えた色がきれいで、空の色と湯の色を合わせてできた色のインクがこの「そらゆの色。」です。
「そらゆの色」は、書き方によってはフラッシュして、淡いピンクが現れます。その色の変化も楽しんでいただけたら幸いです。
NO.6 そらゆの色。 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:アクリルデネブ 【右】用紙:ホワイトワトソン
淡いブルー。ところどころピンクが見えて、青紫のようにも見える色。あまりない感じの可愛い色なので、重宝していますが、特に紫陽花を描く時はとても使いやすい色です。
No.7 しのぶの翠色。
福島市のシンボルといえば信夫山。風が吹く霧がかかった盆地の中心に島がある情景(吹く+島+縁起を担いで=福島)となったそう。
そんな信夫山は、寒暖さのある時には霧がかかり、森も少し霞んだ翠色になります。信夫山をテーマにインクを作ろうと思った時に、霞んだ翠というイメージが最初に浮かび、表現したのが、この「しのぶの翠色」です。
NO.7 しのぶの翠色。 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:ホワイトワトソン 【右】用紙:アクリルデネブ
青味の淡いグリーン。Pentonoteさんの説明に「霞んだ翠」という言葉がありますが、その通りの色だなと思います。穏やかでやさしいグリーンです。
No.8 もちずりの涙
「陸奥の しのぶもちずり 誰ゆゑに 乱れ染めにし 我ならなくに」(河原左大臣 源融)
福島市東部に 「信夫文知摺」 はあります。 「文知摺」 とは染色法のことで、そのみだれ模様が心の乱れを表す歌枕「しのぶもちづり」として、広く歌に用いられてきました。 この地に伝わる悲しく切ない恋の物語をイメージして作ったインクが「もちずりの涙」です。
「もちずり石」がある 文知摺観音 とは
小倉百人一首の歌枕の地であり、松尾芭蕉、正岡子規などの俳人や歌人が多数訪れた場所です。全域が福島市の文化財に指定され、日本最北端といわれる多宝塔は福島県の重要文化財に指定されています。京の巡察官・源融(みなもとのとおる)と山口長者の娘・虎女(とらじょ)の悲恋物語で知られ、「もちずり石」に源融の面影が浮かんだと伝えられています。
NO.8 もちずりの涙 20ml – Pentonote (pentonotelife.com)
【左】用紙:ホワイトワトソン 【右】用紙:アクリルデネブ
淡い赤紫。少しグレーも帯びている気がします。淡い色なので、細字で書くにはあまり向きませんが、ほんのり淡く、やさしい雰囲気で色を塗りたい時に大活躍しています。
私とLETTERS FROM FUKUSHIMA
インクを集め始めたばかりの時にたまたま福島に行く機会があって。迷ったあげく、50mlボトルなのにその当時販売していたNo.1~No.5まで全色買いしたのが、LETTERS FROM FUKUSHIMAとの出会い。その当時はまだ通販もされていなかったし、ご当地インク的なものも少なかったので、この機会を逃すのは…という感じだったのですよね。
その後に販売されたNo.6の「そらゆの色。」がとても好みで。ずっと気になっていたものの福島を訪れる機会はその後なく。気づいたらNo.8まで出ていたので、No.6~No.8まで通販でまとめ買いしました。20mlはお気軽に買えるのでありがたかったです。No.6以降の色は淡く優しくふんわりした色だからでしょうか?ラメ入りインクも販売されているようで。最近、ラメ入りインクも楽しいなぁと思い始めたところですが基本は万年筆で使いたいので、こちらには手を出さない予定です。
LETTERS FROM FUKUSHIMAの一部は同名の万年筆も販売されていて。そちらもまた素敵な色合いですし、そもそも万年筆とインクのマリアージュとか最高すぎ!と思うのですけれど、インクと違って気軽に手を出せるお値段ではないので、こちらも手を出さない予定。
今は全国各地ご当地インクも増えましたけれど、このLETTERS FROM FUKUSHIMAは色名も色の由来も素敵なものが多いので、No.9以降の色が出るようならまた買いたいなと思っています。実店舗もとても素敵な空間だったので、通販利用ではなく、直接買いに行くのもいいかもなぁ。(No.9がいつ出るのか、そもそも出るのかどうかもわかりませんが。)